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あなたのとりこ 212 [あなたのとりこ 8 創作]

「何となく、もう山尾さんが営業に移る事が決定した云い方ですよね、それって」
 那間裕子女史が抑々のところに拘るのでありました。
「まあ聞け」
 片久那制作部長は那間裕子女史の言葉を掌で制するのでありました。「地図なんかの修正作業は地域が新しくなるだけで要領は何時もやっているのと変わらないが、材料類の管理とか発注に関しては少し面倒臭い。商品在庫が多いと資産になって課税対象になるからなるべく在庫としては置いておきたくない。倉庫のスペースも限られている。それとの兼ね合いで発注を掛けたりするから些か面倒なんだ。均目君はその辺を早く熟せるようになってくれ。まあ今後、適時教えていくからそんなに心配しなくても良いけどな」
 均目さんは面倒臭い仕事を割り振られるようでありますが、まあ、均目さんの事でありますから慣れるのもそんなに時間はかからないでありましょう。その連携で倉庫を管理する自分もこの場に呼ばれたのだろうと頑治さんは思うのでありましたが、その割にその点の具体的な話しは片久那制作部長の口からはここでは特段出ないのでありました。
「それから唐目君だが」
 片久那制作部長は頑治さんの顔に視線を向けるのでありました。「営業部の仕事の改変で袁満君や出雲君の動きがどうなるかは未だ不確定だけど、恐らく会社に居る時間はこれ迄よりは増えるだろう。その場合営業関連の出庫や入庫、それに発送業務は二人に任せる事にして、その分制作の仕事を今より多く手伝って貰う事になるだろう」
 交通案内図の駅間所要時間調べを手伝って以来、その仕事振りを片久那制作部長に認められたせいか、頑治さんは時折製作部の仕事を手伝う機会があるのでありました。と云っても地図の製図とかフイルム修正と云ったそれなりの経験が要る仕事はおいそれとは手伝う技術も無いので、調べものとか外部のデザイナーとかカートグラファー、それにイラストレーターなんかへの制作物の受け取りやら受け渡しやらと云った仕事であります。
 頑治さんは特に意識は無かったのでありますが、均目さんに依れば社内での細々した制作物修正作業なんかよりは、そちらの対人仕事の方が余程本来の制作部の編集仕事であろう云う事でありました。でありますからそう云う人に逢う場合は業務仕事の作業服と云う訳にもいかず、些か身綺麗な体裁をしていかなければならなかったし、逢う相手に依っては一張羅のスーツとネクタイを着用しなければならない場合もあるのでありました。
 頑治さんとしては物を相手の作業服での業務仕事の方が気楽で好きだったのでありますが、なかなかそうはいかない羽目になったのであります。まあ、片久那制作部長に見込まれて命じられる仕事なら何でもやらなければならないと観念するのでありましたが。
「判りました。何となく益々制作部専用の業務担当、と云う感じになるのですかねえ」
「ま、そう云ったところかな」
「そうなると、聞き様に依っては不謹慎な質問かも知れませんが、自分の仕事上の直属の上司は土師尾営業部長なのでしょうか、それとも片久那制作部長なのでしょうか?」
「まあ、本来の業務仕事も兼務するからから、名目は営業部長、実質は俺の配下かな」
「ああそうですか。何となく曖昧且つ小難しい身分となる訳ですね」
(続)
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