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お前の番だ! 472 [お前の番だ! 16 創作]

「あの人のしている事は、武道と云うよりオカルトに近いですからね」
 花司馬教士も冷淡一辺倒のようであります。
「一緒にはやれないが、我が道を行く分にはこちらも何も云う心算はない。まあ、あの人の鈍さやがさつさからこちらに累が及ぶようなら、その時はその時できっぱり諌めればそれで良い。折野は洞甲斐さんの性格を気にしているようだが、それは多分洞甲斐さんが今回の事を恨みに思って、何らかの意趣返しをしてくる事を警戒しているのだろうが」
 是路総士はそう云って万太郎を見るのでありました。
「まあ、そう云う事です」
 万太郎も是路総士を見つめるのでありました。「しかし花司馬先生に依ると、意外にあっさりとした性格のようですから、それも恐らくないでしょう。洞甲斐先生の拠点が八王子と云う事なので、同じ地域に支部がある我々としては向後何かしらの鞘当てがあったり、無用な摩擦が起ったりするのは叶わないと思ったもので、その辺を憂慮したのです」
「そんな度胸は彼奴にはなかろうよ。しかし若し不埒な事を仕かけてきたなら、こちらとしては軽く捻り潰すだけだ。へでもないわい」
 鳥枝範士は哄笑するのでありました。
「ま、必要以上に意識する事も、敵視する事もなさそうですかね」
 万太郎はそう云って言を納めるのでありました。しかし万々が一のための警戒は怠らぬ方が良かろうとも、一方で思うのでありました。
「じゃあ、洞甲斐さんの一件はこれで一先ず収束、と云う事で良いかな?」
 是路総士が訊きながら一同をゆっくり見回すのでありました。一同は小さく、押忍、と発声しながら是路総士に夫々目礼するのでありました。
「さて、どうですかな、話しも収まったところで、皆で一杯やりますかな。寄敷さんは親戚の法事と云う事で欠席だが、暫くぶりに幹部がこうして顔を揃えたと云うのに、この場に酒がないと云うのは如何にも寂しいですからなあ」
 鳥枝範士が掌をポンと打つのでありました。
「ああ、ではお酒の用意をして参ります」
 そう云ってあゆみが、少し遅れて万太郎と花司馬教士が立つのでありました。
「いやいや、これから用意するのは億劫でもあろうから、今日は一つ久しぶりに雲仙にでも繰り出す事にしよう。如何ですかな、総士先生?」
 鳥枝範士が云う、雲仙、とは別に長崎の温泉地ではなく、駅前にある居酒屋の屋号でありました。まあ、これは敢えて断るまでもない事でありましょうが。
「偶にはそれも良いですかな」
 是路総士が破顔するのでありました。
「それじゃあ、来間も呼んでこい」
 鳥枝範士が指示するのでありました。
「押忍。承りました」
 万太郎はそう云って母屋の食堂に控えている来間を呼びに行くのでありました。
(続)
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