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お前の番だ! 470 [お前の番だ! 16 創作]

「少しもめたようだな?」
 鳥枝範士が口の端に薄笑いを浮かべて云うのでありました。
「いや、概ね円満に話しを収めてきたつもりですが」
「折野から今回の移籍話しは断ると聞きはしたが、その確認のためだと、私の方に先程洞甲斐さんから電話がかかってきたんだよ」
 是路総士が云うのでありました。
「ああそうですか。それで洞甲斐先生は何とおっしゃっておられましたか?」
「移籍が叶わないのは慎に残念だと云う繰り言と、お前の態度が随分横柄だったと云う苦情を延々と喋っておったな。お前、横柄な対応をしたのか?」
「いや、自分では丁重な態度や言葉遣いで通した心算でしたが」
「何か云うと凄い目で睨まれたり、取りつく島もないような風だったと云っておったぞ」
「洞甲斐先生から総士先生に対して無礼な言があって、その時は確かに睨みました。しかし概ね一定の距離を保って、あくまでも穏やかに云うべき事を云っただけです」
「あの人を相手にする時は、折野先生が今云われたように、ある程度距離を取った、無愛想なくらいの態度の方が良かったと思いますよ。こちらが懇意を見せたり、下手に出たりすれば、すぐに勘違いをしてどこまでもつけ上がるような人ですからね」
 花司馬教士が横手から口を添えるのでありました。
「まあ、私の方からは、折野の云った事がその儘私の考えであり態度であると云っておいたし、何か不服の申し立てがあるのならもう一度折野を寄越すから、相談してみたらどうだと持ちかけた。そうしたら先方は折野とはもう会いたくないそうだ」
「随分と不興を買ったものですね、僕は」
 万太郎はそう云って自嘲するような、呆れたような笑いを浮かべるのでありました。
「おいそれと総本部に迎えてくれるだろうと云う思惑が見事に撥ねつけられたので、腹いせに直接話しをした折野の事を、大袈裟に私にあれこれ詰っただけだろうよ」
 是路総士は万太郎に笑みながら頷いて見せるのでありました。
「どうせなら居酒屋なんかで逢わずに、彼奴の家に乗りこんで、つべこべ御託を並べだしたら、即座に実力行使に及んでも良かったくらいだ」
 鳥枝範士が、勿論冗談ではありましょうが不穏な事を云うのでありました。
「僕も洞甲斐先生の瞬間活殺法と対決してみたい気は、ない事もなかったですが」
 万太郎が鳥枝範士の冗談に乗って見せるのでありました。
「ま、態々対決するまでもないでしょうがね」
 花司馬教士がそう云って哄笑するのでありました。
「しかし当初、洞甲斐先生は僕如きに対しても、随分と遜った物腰で対されておられたのですが、移籍お断りの話しをすると途端に横柄な云い草になられました。それからその例の、僕が睨んだ局面後は、また一定の丁寧な言葉遣いをされるようになりましたし、別れ際はまた不貞腐れたような態度に変わられました。こちらの出方に一々、余りに判り易い態度変更をされるのには、僕としたら竟々、笑って仕舞いそうになりました」
(続)
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