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お前の番だ! 405 [お前の番だ! 14 創作]

 しかし威治筆頭範士に興堂範士程の実力も魅力もないのであってみれば、詮ずるところは花司馬筆頭教士頼みとなり、それでは総帥となった実利も甲斐もないと云うものでありましょう。威治筆頭範士が自分より格上で目の上の瘤である花司馬筆頭教士を、まるで追い出すように辞めさせたのでありましたが、こうして辞めさせても威治筆頭範士に思惑通りの実利も甲斐も、結局は転がりこまなかったと云いう事でありますか。
 嘗ての興堂派には日本国内に企業や学校なども含めて、八十を超える支部や団体が直属していたのでありましたし、海外にも二十程の支部を抱えているのでありました。それがあれよあれよと云う間に、関東近辺に二十数支部を残すだけとなるのでありました。
 しかも古くから活動していた支部が挙って抜けて、比較的新興の支部ばかりが残ったのでありました。抜けた国内の支部の内で総本部に新たに誼を結ぼうとするのが、抜けた内の三分の二程、後は独立か解散と云う道を選ぶと云う事になるのでありました。
 海外では離脱の動きは国内程顕著ではないのでありましたが、それは普段から興堂派本部とは地理的条件のために縁遠い活動をしていると云う事情のためでありましょうか。中には目が届かないのを逆手に、既に半独立したような形で自分の団体を率いる支部長もあって、日本国内の動きに鈍感でも然して影響がないと云うところでありましょう。
 要は海外では、興堂範士の名前と純然たる日本古武道の流れを汲む団体であると云う売り文句が最重要なのでありました。でありますから実力や常勝流指導者としての気概とは別物に、全く恣意に、云うなればまるで威治筆頭範士の先を行くように、自分勝手な、或いは自分独自の考えで団体運営をしているようなところが多いからでありましたか。
 それは中には、興堂範士の遺志を大切に守ろうとする団体指導者もいるのでありましたが、そう云うところは大概は独立の道を選ぶのでありました。でありますから、総本部に誼を通じてきたのは海外では二団体に過ぎないのでありました。
 この二団体の海外支部長は一定期間神保町の興堂派道場で修業を積んだ人で、その折に総本部の是路総士とも交流があったのでありました。まあ、そう云う縁がないのなら、海外の支部が敢えて総本部に所属するのを躊躇うのは宜なる哉と云うものであります。
 話しを国内に戻せば、総本部に所属替えを希望する団体は、同じ地域にある総本部系の支部に先ず交誼を求めて、間接的な形で総本部に所属を移そうとするところもあれば、同一域内でも殆ど総本部系と交流がなかった団体等は、直接総本部に連絡を入れてくる場合もあるのでありました。支部経由ならば然程の問題は生じないのでありましたが、そうでない場合は既存の総本部系支部との間で調整が必要となるのでありました。
 寄敷範士にその調整を任された万太郎とあゆみは、新しく所属を求めてくる団体にも既存の支部に対しても、その心証や利害を損なわないような配慮と云う点で大いに苦慮するのでありました。こちらを立てればあちらが立たずの片手落ちな調整なんぞをすれば、総本部の器量を疑われる事になりかねないのでありますから。
 何度か話しあいをするうちに万太郎とあゆみは、先決には既存の支部の不利益を除くと云う点で意見の一致を見るのでありましたが、それはそうでありましょう。前からある総本部系支部が、今回の事態で不利益を被る謂れは何もないのでありますから。
(続)
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