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お前の番だ! 404 [お前の番だ! 14 創作]

「ところで話しは変わりまして、花司馬の事なのですが、・・・」
 鳥枝範士が是路総士の方にやや身を乗り出すのでありました。
「ああ、花司馬君ですね」
 是路総士は鳥枝範士の顔を見ながら一つ頷くのでありました。
「興堂派、いや、興堂流とこうなったからには、晴れて花司馬の処遇を変更しても差支えなくなったので、ここら辺で総本部に指導者として迎えては如何でしょう?」
「そうですね。そう致しましょうかな」
「花司馬は鳥枝建設の愛好会でのウケも良くて、面能美とも良好にやっています。花司馬の方があれこれ遠慮して、自分は新参者だからと面能美を立てて、面能美の煩いにならないように諸事に気を遣って、大いに遜った態度で稽古に励んでいますよ。さすがに道分先生が筆頭教士を任せただけの事はあって、なかなか心胆の出来た男です」
「花司馬先生を総本部の指導者に迎えるのですか?」
 あゆみが驚いた顔をするのでありましたが、万太郎の方は鳥枝範士が元々そう取り計らう魂胆なのだろうと推察していたので、さして驚きはしないのでありました。まあ、実はあゆみも何となく既にそう予想していたに違いないでありましょうから、この場合の驚いた顔は一種の言葉の遣り取り上の鳥枝範士に対する愛想と云うものでありましょう。
「そうだ。ずうっと鳥枝建設の社員にしておく心算は、端からない」
「折野もあゆみも、花司馬君を招くのに異存はないか?」
 是路総士が二人の顔を交互に見るのでありました。
「勿論あたしに異存なんてありません」
 あゆみがすぐに応えるのでありました。
「僕も全く異存はありません。花司馬先生にいらしていただけるのなら、返って道場の運営面でも大助かりです。技法についても色々教えていただく事も出来ますし」
 万太郎も同調するのでありました。
「総本部の主たる運営者の二人から許可を貰ったと解釈して良いな?」
「許可なんてそんな烏滸がましい事ではないですが、花司馬先生に加わっていただければ総本部の指導陣に厚みが増しますから、寧ろ好都合と僕は思います」
「よし、これで決まった。明日早速、花司馬にこの件は伝えておこう」
 鳥枝範士はそう云って掌を一つポンと打ち鳴らすのでありました。

 広島と岡山、それに徳島の旧興堂派の支部が総本部への移籍を表明すると、確かに予想された通り総本部への所属替えの流れは加速するのでありました。矢張り威治筆頭範士がやろうとしている新方針は、古い門弟達や地方からの反発が強いのでありました。
 一旦急となった流れは、幾ら財団会長や新宗家が躍起になって堰を高くしても、そう簡単に収拾出来るものではなくて、新しい活路を求めて奔流すると云った様相でありましたか。興堂範士の頃その儘に、威治筆頭教士が花司馬筆頭教士と手を携えて会派運営をしていれば、こうまで激流とはならなかったろうと万太郎は思うのでありました。
(続)
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