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お前の番だ! 383 [お前の番だ! 13 創作]

 寄敷範士の後には興堂派の須地賀徹広島支部長が続いて出てくるのでありました。万太郎はこちらにも格式張った深いお辞儀をするのでありました。
「君が折野君か?」
 須地賀支部長が万太郎に声をかけるのでありました。
「押忍。お初にお目にかかります」
 万太郎は頭を起こして、しかし両手はついた儘応えるのでありました。
「押忍。広島の須地賀です。君の事は花司馬君や道分先生との話しの中で、将来が楽しみな人として時々出てきたから、どういう若者かと逢うのを楽しみにしてしましたよ」
 須地賀支部長は立った儘ながらも、親しみを籠めた物腰で万太郎に微笑みかけるのでありました。花司馬筆頭教士や興堂範士との話しの中で、話題として自分の名前が挙がると云うのは、意外な事もあり慎に光栄な事でもあると万太郎は秘かに喜ぶのでありました。
 その次には鳥枝範士の知りあいの佐栗興堂派理事が出てくるのでありました。万太郎は同じように座礼するのでありましたが、こちらの方は万太郎の事をあまり認知してはいないようで、無表情の儘で立礼を返されるのみでありました。
「それじゃあ、総士先生、寄敷先生、鳥枝さん、向後よろしくお願い致します」
 玄関で靴を履いた佐栗理事が廊下に並んで正坐した是路総士と鳥枝範士、それにやや下がった位置に座した寄敷範士にそう云って頭を下げるのでありました。
「委細承知しましたよ。この件は花司馬にも伝えておきます」
 鳥枝範士が手を上げて了解の意を伝えるのでありました。
「花司馬君も、鳥枝さんの恩義に助けられましたな」
「なあに、その分これから、たっぷりと働いてもらいますからなあ」
 鳥枝範士はそう云って笑うのでありました。「じゃあ、また近い内に一杯やりましょう」
「では、私は明日広島に戻りますが、また近々書面を携えて上京致します。その時はまたお邪魔させていただきますし、その間は事がスムーズに運ぶように、直接こちら様へ電話なり手紙なりで頻々と連絡を入れさせていただきますので、よろしくお願いいたします」
 須地賀志部長が是路総士にお辞儀するのでありました。
「判りました」
 是路総士はそれだけ云って一つ頷いて見せるのでありました。
 来間が土間に降りて靴を履いた二人から靴箆を受け取り、万太郎は玄関引き戸を開けて先ず自ら外に出て、そこで二人の来客が出てくるのを待つのでありました。門柱の脇で万太郎と来間は二人を見送るのでありましたが、須地賀支部長は数歩離れた後ふり返って、武道家らしく万太郎と来間に律義に礼をするのでありました。
 その様子を見た佐栗理事は同じようにふり返って、うっかりしたと云った風情で、須地賀志部長の真似をして万太郎と来間に礼を送って寄越すのでありました。こちらは武道家と云うわけでもないので、それ程礼容に頓着しないような様子でありましたか。
「折野、後であゆみが帰ったら、二人でこっちに来い」
 来客を無事見送った報告に行くと、鳥枝範士が万太郎にそう云うのでありました。
(続)
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