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合気道の組形稽古について 13 [合気道の事など 2 雑文]

 仕手は受けのこの状況回復動作の起こりを察知したら、その動きに同調しながら前足を受けの背後に踏み出し、持たれている左手を前方に伸ばすように進め出して、向き直ろうとする受けの鎖骨から顎の部位に接触を持ち、同時に受けの体の向き直りの勢いに対して接触した一点を以って抗するのではなく、寧ろ受けの体上を腕が滑って、真っ向からの勢いのぶつかりを回避しながら体同士の自然な密着をも使って受けが仰け反るように誘導します。受けは右傾斜を解消して仕手に正対するべく向き直ろうとする動きを利用されて、結果として仰け反って体勢の崩れが復元不可能な状態にまで持ちこまれて仕舞うのであります。これがこの技の第二挙動目であり、仕手と受けとの間に起こる運動関係であります。
 後の投げは「片手持ち側面入り身投げ(一)」或いは「片手取り呼吸投げ(表)」と同じで、姿勢の正しさと前に出して受けの体上に被せた両腕の力みのない制圧力を利かせた儘、前脚の膝を緩ませるのを始動として、継足に大きく前進しながら撓やかに両腕を切り下して受けの体を投げ捨てます。残心も「(一)」或いは「(表)」と同様であります。
 受けの受け身の取り方もその後の起き上がり方も同じ要領で、仕手の投げに乗った柔らかい後方受け身を取ります。これが第三挙動目の投げの完了動作であります。
 この技は仕手と受けの同調が非常に良く表現される技であり、同調性とはどう云うものか、それに同調して受けを制するためには如何に仕手の安定した姿勢と強い体軸が必要か、また「後の先」の同調的な動きとは如何なるものかを納得出来る技であります。その意味に於いても受けの稽古上の技量がはっきりと表れる技だと云う事が出来るのであります。
 受けは組形の上での単なる「やられ役」ではないのであります。派手に崩れて見せて仕手の投げを見栄え良く支えるために受けがあるのではなく、仕手の正確で、合理であり、安定していて乱れのない、撓やかな、然も確固たる同調性を体した動きを磨くためにこそ在るのであります。先に云った事でありますが組形稽古とは殺陣でもなく舞踏でもなく、況してや小賢しい思いつきの動きで相手をする者や大向うを唸らせる見世物でもなく、相手の裏をかいて悦に入る武道ごっこでもなく、力を捏ねあう筋肉トレーニングでもないのであります。それは偏に合気道の特徴たる「呼応性」を錬るための稽古なのであります。
 組形稽古を倦まず繰り返す事を通して、合気道と云う武道の技がどのような理合いで成り立っているのかが自ずと理解出来るようになるでありましょう。またそれは合気道以外の武道との差異を研究する事でもあり、徒に自己賛美に陥る事なく、多の中の一たる合気道と云う武道の優位性も欠点も、自然な道筋として見えてくると云うものであります。勿論、真摯に取り組めば、と云う前提はここで敢えて云うまでもないでありましょうが。
 今まで述べてきた幾つかの技の「(一)」或いは「(表)」と「(二)」或いは「(裏)」の区別も、仕手が接触後に恣意的にそれを選んでいるのではなく、受けの動きに「呼応」しているが故に仕手の無理のない同調性が必然的な流れとしてその技を選択する事になるのであります。例えば片手持ちの技で接触時には引いているのに第一挙動目の後に受けが急に押すような力を出すに転ずれば、仕手はそれに「呼応」して自ずと第二挙動目からは「(二)」或いは「(裏)」に変化するべきであります。ただこうなると組形稽古から逸脱して稽古の実質が変化の対応稽古に変容して仕舞いますので、組形稽古では戒めるべき事であります。
(続)
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