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もうじやのたわむれ 283 [もうじやのたわむれ 10 創作]

「まあそんな感じじゃが、生まれ変わりネットという、閻魔庁独自のシステムに繋がった生まれ変わり準備室のパソコン上で、順番がきたら、その魂魄となった亡者殿のID番号が通知音と同時に点滅表示されてのう。そうすると担当官が予め登録されていた亡者殿の生まれ変わり希望地と、点滅表示しているID番号の後ろ示された地方や郡が合致するかどうかを確認してじゃな、ポインターをそのID上に置いてクリックするのじゃ。するとパソコンからそのID番号の亡者殿だけ反応する赤外線が照射されてのう、亡者殿の魂魄に、行け、と云う指令が伝わるのじゃよ。するとその亡者殿の魂魄が反応して、薄紫色の光を放ちながら、該当地方や郡の該当お父ちゃん予定の霊か鬼の処に飛んで行くのじゃよ」
「お父ちゃん予定の霊か鬼の処に、ですか?」
「そうじゃ。お父ちゃん予定の霊か鬼の処へじゃ」
「生まれた赤ちゃんの処ではなくて?」
 拙生は口を尖らせて、上手く理解が出来ないと云う様な表情をするのでありました。
「魂魄は飛んで行って生まれた赤ちゃんに入りこむのではなくてじゃな、もっとずうっと大本のところに入りこむのじゃよ」
「大本のところと云うと?」
「お父ちゃんの金玉じゃ」
「金玉に、ですか。ううむ。・・・」
 この「ううむ」は拙生の唸り声であります。
「しかもそのお父ちゃん予定の霊か鬼は、まあ、ちょいと際どい話しになるが、或る女性の霊か鬼と何やらややこしい行為をしている最中のヤツと云う按配じゃ。そいで以ってその金玉の中の、今にも放出されそうな最先頭にいる一個の精子に咄嗟に取りつくのじゃ」
「それは何とも、機微に富んだ玄妙な仕組みと云うのか、くだくだしい仕組みと云うのか、せわしない仕組みと云うのか。不必要に小難しい仕組みと云うのか。・・・」
「タイミング勝負じゃ。手際の良さが要求されるから魂魄もうかうかしてはおれんのじゃ」
 閻魔大王官は巻物で掌を打ってパチンと云う音をさせるのでありました。
「心してかからねばなりませんなあ、そう云う事なら」
「緊張の一瞬じゃ。しかしその代わりに、その精子に取りついた瞬間も仮の姿から魂魄になる時と同様、ある種のエロチックな気持ち良さが伴うらしいぞい」
「ああそうですか」
「魂魄の取りついた精子は、七十二時間以上活発に動き回る事が出来るし、一分間に十ミリ以上も移動する事も出来るし、酸にも強くなるのじゃ。まあ、馬力がつくと云うのか意欲的になると云うのか、兎に角、他の精子に対して格段に優位な能力を持つ事になるわい」
「それでその精子が、優先的に卵子と融合出来る事になると云うわけですかね?」
「ま、そうじゃ」
 閻魔大王官は巻物を持った手で、大袈裟な仕草で力瘤を作って見せるのでありました。
「しかしそれで、絶対上手く受精するわけでもないと思うのですが。まあつまり、相手のある事ですし、お父ちゃんの方が急に放出不可能になる事態だってあるかも知れませんし」
(続)
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