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もうじやのたわむれ 277 [もうじやのたわむれ 10 創作]

 閻魔大王官は拙生の蛇足にツッコむどころか、それを受けての冗談を発しながら大笑するのでありました。慎にノリの良い大王官であります。
「ははあ、それで夜の一定時間を過ぎると急に万事がもの憂くなってきて、動くのも億劫になって、竟には眠って仕舞ったのですね私は?」
「昼間に吸収して蓄えておったお日様のエネルギーが、そこで切れたのじゃろうて」
「実は急にそう云う疲労感みたいなものを感じて眠って仕舞うのは、部屋の中に亡者をそうさせて仕舞う、例えば、億劫ガス、みたいなものが、屹度充満する仕かけになっているのではないかと疑っていたのです。或いはガスでなければ、億劫電磁波、みたいなものがテレビとか照明器具とか空気清浄機辺りから、亡者を目がけて照射されるのかと」
「いやいや、そんな人の悪い、いや鬼の悪い仕かけは何もないぞい」
「そいで以って夜が明けて、カーテン越しに差す朝日に依ってエネルギーがまた充填されて、そのために私は目覚めたというわけですかな」
 拙生は云いながら何度か頷くのでありました。
「ま、そう云う理屈じゃ」
 今度もまた閻魔大王官は拙生の頷きに同調して、何度も頷き続けるのでありました。
「活動素に作用するところの光のエネルギーは、お日様の光だけではなくて、照明器具とかの光ではダメなのでしょうかね?」
「どうやらそう云う人工的な、いや霊工的、或いは鬼工的な光ではいかんようじゃな。あくまでもお日様の自然光にしか反応せんらしいぞい」
 閻魔大王官は未だ頷き続けているのでありました。
「すると亡者は夜になって蓄積していた光のエネルギーが切れると、決まって活動を停止するわけですから、宿泊施設のカフェテリア黄泉路が、亡者のナイトライフのために四更まで営業していたり、或いは夜を徹してのどんちゃん騒ぎなんと云うオプションサービスが態々設定されている、なんと云うのは結局、利用不可能なのではないかと思うのですが、どうしてそう云う無意味なサービスなんぞが、宿泊施設に設けられているのでしょう?」
 拙生の質問の言葉が終わる頃、閻魔大王官はようやく頷きを止めるのでありました。
「ははあ、ひょっとしてお手前、宿泊施設が、結局享受不可能と思えるサービスなんかも色々並べて、サービスの種類とか細心さを粉飾しているとお疑いなのじゃな?」
「いやいや滅相もない。まるで娑婆の高級ホテル並みに、宿泊施設では本当に快適に過ごさせて頂きましたから、そう云う人の悪い、いや亡者の悪い勘繰りなんかは誓って持ってはおりません。只、私の呑気で素朴な疑問としてお伺いさせて貰っているだけですよ」
「呑気で素朴な疑問、ねえ。・・・」
 閻魔大王官は疑わしげな顔をして見せるのでありましたが、しかし底に悪意とか敵意はないようで、そう云って拙生のたじろぐ様子を単に面白がっているだけのようであります。
「お気を悪くさせる了見で今の質問をしたのではない事を、ご理解ください」
 拙生はオロオロと恐懼の物腰で云い添えるのでありました。
「いやいや案ずる事はないぞい。お手前に悪気のない事はちゃんと承知しておるわいの」
(続)
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