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もうじやのたわむれ 251 [もうじやのたわむれ 9 創作]

 まあ、閻魔大王官に依れば、亡者は質量のない幽霊みたいなものだと云う事でありましたから、基本的にはそれで食事とか排泄とかの必要もなければ、満腹もしないし酒にも酔わないし幾ら動いても疲れないと云うのでありますが、そうすると質量のない亡者が質量のある物質を摂取出来る、或いは摂取して問題がないと云うのは、一体どう云う按配の事なのかという疑問もありましたか。摂取した食物は、先の疑問と関連しますがその後一体どうなるのでありましょうか。全く無茶な事を行っているように思えるのでありますが。
 それに、拙生には色んな意味で好都合に出来ているようにも思える亡者の体ではありますが、なのに車には酔うと云うのも、今一つ解せない話しでありませんか。三半規管の弱い亡者、なんと云うのも何やら間抜けな感じであります。まあ、我々亡者のこの仮の姿に、そのような器官があるかどうかは全く知らないのでありますが。
 拙生はメモ帳に箇条書きに、亡者はどうして食事が出来るのか? 亡者は何故酒に酔わないのか? 酒には酔わないのに車にはなんで酔うのか? 亡者の活動エネルギーは何なのか? 体に摂取した質量のある物質は質量のない亡者の体の中でどうなるのか? 亡者と云えども排泄の必要はないのか? 亡者をこのように在らしめている、或いはこちらの世を根本的なところで司っている観念論的超存在は本当に居ないのか? と書きこむのでありました。まあ、亡者の体の仕組みについての疑問はこんなところでありましょうか。
 次はええと、・・・。拙生はまたボールペンで頭を掻いてみるのでありました。ああそうであります。億劫ガス、或いは億劫電磁波についてでありました。
 夜になって当てがわれた宿泊施設の部屋に戻ると、一定時間を過ぎると急に動くのが億劫になったり、睡眠の必要もないくせに眠って仕舞うのは何故かという疑問であります。夜も眠らずに亡者が終日好き勝手に活動すると、閻魔庁の予算が嵩んで仕方がないから、或る時間になると亡者に作用するところの億劫電磁波が出たり、億劫ガスが部屋の中に充満する仕かけになっていて、それで亡者の活動を秘かに強制的に制限しているのではないのか、と云う拙生の勘繰りであります。閻魔庁の予算にも限りがあるでありましょうし。
 まあ、閻魔庁の予算を抑制するためと云うケチな了見かどうかは定かではありませんが、兎に角、拙生が眠たくなったのは事実でありますし、朝まで一度も起きる事なく眠っていたのであります。娑婆では必ず夜中に一度か二度、小便に起きていたと云うのに。
 それからええと、・・・。またボールペンで頭を掻くのでありました。すると同じところを強く摩擦しているためか、頭皮がひりひりするような感覚が起こるのでありました。擦り剥いたかなと思って手を当てると、触って浸みるような痛みのある個所もありませんし、指に血がついてくるわけでもありませんから、別に頭皮に変化はないようであります。この痛みは娑婆の名残でありましょうか。この辺りもちょろっと質問してみましょうかな。
 で、その他はと云うと、これはこちらの世の地名の件でありますが、娑婆と同じ地名の処もあれば違うものもあるのは何故か、と云う点であります。何か原則があるのでありましょうか。それともこちらに住む霊達の、娑婆への郷愁の濃淡とかがそう云う違いを生じさせているのでありましょうか。まあ、娑婆の記憶は、淡く無関心に蘇るだけと云うのでありますから、郷愁の濃淡なんという情緒は成立しないようにも思われるのであります。
(続)
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