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もうじやのたわむれ 66 [もうじやのたわむれ 3 創作]

「内陸部は未開の森林とか砂漠のような処もありますが、計画的集約的大規模農業が地方を挙げて推進されていまして、様々なオーシテクレヤ島独特の農業産品が大量に生産出来るようになりました。牧畜業の方も盛んで、良質の牛肉が、オーシー・ビーフ、と云うブランド名で、他の地方にも近年多く出回るようになりましたねえ。これは極楽省の方にも輸出されております。大小傑地方はこれから益々発展していくでしょうね」
「ふうん。なによりですね」
 拙生は突き出していた顎の先を、指で撫でるのでありました。
「オーシテクレヤ島から東にやや離れた処には、この地方第二の大きさの島であるユーシーランドがあります」
「UCカード?」
「いや、ユーシーランドです。ここには地獄省中にその勇名を轟かす、揃いの黒いユニフォーム姿も凛々しい、無敵のラグビー・チームがあります。地獄省地方対抗閻魔杯争奪ラグビー・フットボール選手権大会で破竹の七連覇中です」
 記録官がそう云ってボールペンをくるんと回そうとしたのでありますが、回し損ねて床に落として仕舞うのでありました。記録官は慌てボールペンを拾い上げるのでありましたが、恥ずかしさのためかその顔は少々赤くなっているのでありました。青鬼が赤い顔をするのも、なかなか味わい深い光景であると拙生は思うのでありました。ボールペンをくるんの手際に関しては、記録官は未だ審問官に及ばないようでありました。
「ふうん、ラグビー・チームですか」
「はい。オール・リラックスと云う名前のチームです」
「なんかダラっとした感じで、ちっとも強そうには聞こえませんね、そのチーム名は」
「確かに。ですから今度オール・ラテックスと云う名前に変えるそうです」
「コンドームみたいですね」
「ああ、それも確かに。そうするとどうしますかなあ、新しいチーム名は。・・・」
 記録官が悩ましい顔をして首を傾げるのでありました。
「オール・スラックスと云うのはどうでしょう?」
 拙生が提案をする、いや、茶化しを入れるのでありました。
「スラックス、ですか?」
 記録官が、あんまり賛成しかねると云った目つきで拙生を見るのでありました。
「チーム全員で長ズボンを穿いて試合に出場するのです。屹度大変な評判になりますよ」
「そうでしょうかねえ」
 記録官がそう云って、目玉をやや横にずらして俯くのは、全員長ズボンのラグビー・チームを思い浮かべているからでありましょう。割に愛嬌のある仕草であります。
「いやまあ、私がここでチーム名を提案しても仕方ありませんが」
「いや確か、チーム名は随時公募されていると思いますから、貴方が晴れて地獄省の省霊になられて、若し大小傑地方にお住みになられるようなら、その魅力的な名前を応募されてみては如何でしょうか。その名前、私としてはもう一つピンときませんが」
(続)
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