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もうじやのたわむれ 12 [もうじやのたわむれ 1 創作]

「いやあ、そんな事はありませんよ。様々です。尤も、川向うの気象統括庁の雷雨担当官の鬼の方は遺伝的に縮れ毛がほとんどですかな。さっきも云いましたように、彼等と我々は霊族が違いますからね。我々の方は直毛か、緩やかにカールしている程度です」
「遺伝的におとなし目の髪質なのですね?」
「まあ、そうですね。貴方のは屹度、節分の豆撒きの時に出てくる鬼のイメージですね」
「そう云えばそうかな。で、お顔の、と云うか、お体全体の色の方ですが、・・・」
 拙生は言葉を切って、祖先が赤鬼の審問官と青鬼の記録官を、礼を失しない程度に睨め回すのでありました。「お二方共、赤くもなく青くもないのですね」
「ああ、まあそうですよね」
 審問官と記録官はまた互いに顔を見合わせて笑うのでありました。
「出し入れ自由の角と一緒で、お顔の色の方も、自在に赤くしたり、記録官さんの方は青くしたり、コントロール出来ると云うことでしょうか?」
「いやいや、そうではありません。そもそも、この赤鬼、青鬼と云うのは見た目の色の事ではないのです。それはここに勤務する鬼の所属部署名だったのです」
「所属部署名?」
 拙生は眉間にしわを寄せて、不可解であることを二人に伝えるのでありました。
「そうです、部署名です」
 審問官がそう云いながら、手にしたボールペンを指先で器用に何度かくるんと回転させるのでありました。「つまり地獄省閻魔庁内の赤鬼局、青鬼局です。三途の川の港湾管理局や渡河船運航事業局と同じようなものです。尤もこの二つは、今は第三セクターとなっておりますが。因みに前にお話しした各審理所も、地獄省内の部署だったのです。まあ、港湾管理局とか渡河船運航事業局とか云うと、好都合にも仕事内容が名前の通りですから判りやすいですが、赤鬼局、青鬼局となると、局の名称が仕事の内容を指示しておりませんから、そりゃ、なんじゃろかいとお思いになるのも無理もありません」
「なにをする局だったのですか、具体的には?」
「先にもお話ししたように赤鬼局も青鬼局も閻魔大王官の助手で、閻魔大王官の指示によって、その仕事の補佐一般ならなんでもすると云う職種だったのです」
「赤鬼局も青鬼局も同じような仕事内容なのですか?」
「大体そうですね」
「態々赤鬼局、青鬼局と区別されているのはどうしてなのでしょうか?」
 拙生はちょいと食い下がるのでありました。
「まあ、その境目は実は曖昧ではあったのですが、強いて云えば、赤鬼局は亡者様を言葉の手練手管で威嚇すると云うのが主な仕事内容であり、青鬼局は鉄棒とか色々な責め具や武器を用いて、身体的な苦痛を以て恐怖させると云うものと云うのでありましょうかな」
「創設当時はそうだったのです。しかし時代が下がると、その仕事内容は赤鬼局と青鬼局で代替出来るようになりましたし、厳密な区別は次第になくなったのです。まあ、閻魔庁の創設期の遺産と云った感じで、後々にもその二局として存続したと云うところです」
(続)
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