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枯葉の髪飾りCLⅤ [枯葉の髪飾り 6 創作]

 駅の改札を挟んで拙生は安田と島田に別れを告げるのでありました。隅田は既に進学する大学の所在地である福岡にアパートを見つけて移っていて、安田と島田も一両日中には転居する予定のようであります。二人は拙生を駅まで見送りに来てくれたのでありました。
「そいぎんた、まあ元気でやれよ。東京の行き帰りには、偶に博多に寄らんばぞ。博多で遊んで、そいから佐世保に打ち揃うて凱旋すればよかし」
 安田がそう云って拙生の腕を掌で一つ叩くのでありました。
「おう、寄らせてもらうくさ。ばってんお前の場合は凱旋じゃのうして、博多から遁走するて云うとが正しい表現やろう」
「なんでオイが、博多ば逃げ出さんばならんとか」
「お前のことけん、博多に行ったらあっちこっちに不義理ばして、収集のつかんようになるに決まっとる。まあ、その場合は島田にちゃんと助けて貰え」
 拙生はお返しに安田の腕を拳で軽く突くのでありました。
「何ごとにも手堅かこのオイが、そがんことになるわけのなかやっか」
「自分ではこがん自己省察のなかことば云うとるけど、安田があっちで色々ヘマばしたら、島田、ちゃんと助けてやってくれよ」
 拙生は横に立っている島田に云うのでありました。
「なんであたしが、安田のヘマの尻拭いばせんばならんとね」
 島田が口を尖らすのでありました。「博多て云うても広いとやけんが、安田とあたしの住むアパートは随分離れとるとよ。安田のことなんか知ったことじゃなか」
「まあ、そがん云わんで、同郷の誼で安田の面倒ば見てやってくれ」
 拙生は島田に頭を下げるのでありました。「ほれ、安田、お前も今の内に、ちゃんと島田に頭ば下げとかんか。宜しくお願いしますて云うて」
「井渕、わけの判らん冗談はそんくらいにせろ」
 安田が拙生の腕をもう一度叩くのでありました。
「そうしたら、あたし達はこれで帰るけんね」
 島田が拙生に云うのでありました。「もうすぐ佳世が見送りに来るやろうけん、あたし達が居ったら、邪魔になるしね」
「ああ、そがんことになっとるとか」
 安田が納得するように何度か頷きます。
「昨日、佳世に電話したら、見送りに行くて云いよったもんね、ま、当然やろうけど」
「まあだ、そがん急いで帰らんでよかやっか。お前達は列車の出発するまで居って、ちゃんとオイば見送ってくれんとか」
 拙生は一応そう云うのでありましたが、吉岡佳世と二人にしてくれた方が折角足を運んでくれた安田と島田には大いに申しわけないのでありますが、拙生としては内心は嬉しいと云えば嬉しいのであります。
「最近会っとらんけど、吉岡は元気にしとるとや?」
 安田が拙生に聞くのでありました。
(続)
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