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枯葉の髪飾りLⅩⅩⅩⅡ [枯葉の髪飾り 3 創作]

「どの位入院することになるとやったかね?」
「一応、三週間て云われてるけど」
「そうしたら・・・、二十三日頃退院て云うことか」
 拙生は指を折りながら計算するのでありました。
「そうね、その頃」
 吉岡佳世は一つ頷いてみせます。
「お見舞いとかは、何時から大丈夫とやろうか?」
「手術の後、二日で普通の病室に戻れるらしいけど、まあ、術後の経過次第やろうけどね」
「本当は手術の時、オイも病院に行きかとやけど、まあ、家族以外のヤツが行っとっても、多分邪魔になるだけやろうけん」
「うん、大丈夫よ、病院まで来んでも。それより受験勉強の方が大事」
 吉岡佳世はそう云って拙生に笑いかけるのでありました。
「手術の後、普通の病室に戻った頃、顔ば出そうかね、オイは」
「うん。でもあたしきっと、手術の後すぐは、なんか、酷い顔ばしとるかも知れんけん、なんとなく恥ずかしか気がする」
 拙生としては手術が終わったらなるべく早く彼女の元気な様子を、この目で確認したいと云う思いでいたのでありましたが、それはひょっとしたら彼女にとっては内心迷惑なことなのかも知れないと思うのでありました。まあ、きっとそんな積もりではないのでしょうが、吉岡佳世にそう云われた後拙生は少々寂しい心持になるのでありました。
「あたしの顔が、なんか、変だったてしても、嫌いになったりしたら駄目よ」
「当たり前くさ、そがんと」
「包帯で体をぐるぐる巻きにされて、弱っていて、顔を顰めて、ちっとも笑ったり、喋ったりせんかったとしても、本当は井渕君の顔を見たら、あたしはものすごく嬉しかとやけんがね、今から一応断わっとくけどさ」
 吉岡佳世はもう、早手回しな弁解などをしているのでありました。
「退院した後はすぐ、学校に行けるようになるとやろうか?」
「うん。一応お医者さんには、そう云われてるけど」
 吉岡佳世はそう云った後少し俯きます。「でも、すぐ学校に行けたとしても、出席日数とかの関係で結局、落第て云うことになるなら、三学期の残りの授業を受けることもなかしねえ。まあ、後のことは、坂下先生と相談してみることになってると」
「ふうん。まあ、オイも二月になったら十日間くらい入試で東京に行くし、それに三月になったら結果発表と、どこか大学に受かっとったら、入学手続きにまた東京に行くことになるし」
「来年になったら、井渕君も忙しかねえ。入試で東京に行く日は、いつにしとると?」
「二月五日の予定でおる。最初の入試が二月八日にあるけん」
「そしたら、もうあたし退院した後けん、見送りに駅まで行くね」
 吉岡佳世はそう云って拙生の顔を見るのでありました。
(続)
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