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枯葉の髪飾りLⅩⅩⅢ [枯葉の髪飾り 3 創作]

「へえ、犬猿の仲じゃなかったと、あの二人?」
「実はそうでもなかとかも知れんぞ、前からオイは云いよったけど」
 隅田が自分の言葉に自分で頷きます。
「あの二人は大概喧嘩口調ではあるばってんが、結局考えてみたら何時も二人でつるんで喋ってばっかいおるわけやからねえ。顔ばあわせると罵りあいばしよるけど、傍目にはそう見えて、実はあの罵りあいはあの二人だけの、独特のお互いの存在ば確認する、交感手段て云うとかも知れん」
 拙生が解説を試みます。
「そいは、云えとる」
 隅田がニヤニヤと笑いながら同調します。
 その時玄関のチャイムが鳴って、件の二人が来たことを我々に教えるのでありました。
「態々戸尾市場まで行ってきたとてねえ、御苦労様やったねえ」
 二人を迎えた吉岡佳世のお母さんはそう云って島田と安田を労うのでありました。
「いえ、せっかくのパーティーやけん」
 島田はそう云いながら居間の隅に安田に抱えさせていた荷物を降ろさせ、その紙袋の一つから、キラキラ光る赤や黄色の飾りのついた小さなクリスマスツリーを取り出すのでありました。島田はそれを吉岡佳世に渡します。
「わあ、綺麗」
 吉岡佳世はそう云ってクリスマスツリーを受け取ると、炬燵の真ん中に置くのでありました。
「綺麗やろう、実は去年からあたしこれが欲しかったと。あたしの分としてもう一つ買ってきたとよ」
 島田はそう云って同じクリスマスツリーをもう一つ紙袋から取り出して、それを先のツリーと並べて炬燵の上に置きます。「一つは、佳世にあげるけんね」
「わあ、本当? 有難う」
「そいからこれは・・・」
 島田がまた紙袋の中から取り出すのは、樅の葉に似せた濃い緑色のビニールのヒラヒラで出来た輪飾りでありました。「壁かどこかに掛けるところ、ある?」
 吉岡佳世はその輪飾りを島田から受け取って、お兄さんが座っている横の壁の掛け釘に止めるのでありました。
「如何にもクリスマスのごとなってきたね」
 吉岡佳世のお母さんが云います。
「お前等の方では、食い物とかは買うてこんかったとか、なんか?」
 隅田が島田に聞きます。
「おう、ちゃんとお菓子ば買うてきたぞ」
 安田が隅田の質問を引き受けるのでありました。安田はもう一つの紙袋から小さな紙で出来た赤い長靴を八つ取りだします。
(続)
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