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枯葉の髪飾りLⅩⅤ [枯葉の髪飾り 3 創作]

「なんか、あんまい具合の悪かごとは見えんなあ、吉岡は」
 安田が云うのでありました。
「うん、本当は大丈夫とやけど、ほら、今学校で風邪の流行ってるやろう、だから用心のために、朝ちょっとあたしの体温が高い時とかは、学校は休めて云われてるから」
「それは、お医者さんに云われてると?」
 島田が安田の後を引き取って吉岡佳世にそう聞きます。
「そう。手術も近いけん」
 吉岡佳世が一つ頷いて島田に云います。
「手術は冬休みやったぞね、確か」
 これは隅田の言葉であります。
「うん。て云うても年末じゃなくて、年明けの七日か八日の予定」
「もう三学期の始まる頃やん」
 安田が鼻翼を人差し指で掻きながら云います。
「そう。だから三学期の出席は絶望的な感じ。多分あたし皆と一緒に卒業出来んやろうね」
 吉岡佳世のその言葉の後、少しの間会話が途切れるのでありました。
「冬休みに入ったら、すぐ入院て云うことになるとか?」
 隅田が聞きます。
「ううん。年が明けて三日の日。市民病院が三日から始まるけん」
「ふうん。でもそんならクリスマスとか正月とかは、家で過ごせるやん」
 安田が務めて能天気な口調でそう云ったのは、きっと話題が深刻になるのを嫌ったためでありましょう。「そんなら初詣にこの五人で行くか、八幡神社か何処かに」
「手術前とに、そがん寒か外に佳世ば連れ出すとは、ダメとやなかと?」
 島田が水を差します。
「そんならクリスマスばするか、誰かの家に集まって」
「安田の馬鹿ちんの鈍感」
 島田が安田の頭を小突きながら云うのでありました。「クリスマスは井渕君と二人だけで過ごす方が、佳世はいいに決まっとるやろう」
「ああそうか」
「いや、別にそがんことはなかばってん」
 拙生は吉岡佳世の顔を横目で窺いながら云います。「島田、変に気ば回し過ぎとるぞ、それは」
「ふうん、そうね。佳世も井渕君も無理せんでよかとよ、別に」
 島田は拙生と吉岡佳世の顔を交互に見ながらニヤニヤと笑うのでありました。
「そんなら、クリスマスの日は皆でウチに集まらんね?」
 吉岡佳世のお母さんが提案します。「ちょっとした料理なら用意するけん、クリスマスパーティーば皆でしようか、好かったら。ねえ、佳世」
 彼女のお母さんはそう云った後に吉岡佳世の顔を見るのでありました。
(続)
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